こんにちは!
シューフィット・神戸屋の西村です。
年末年始の大セールの時期が終わってしまいました。
となると靴業界の次のイベントは、入学・進学と新社会人の靴の準備。
現実は、年末年始からスタートしていますが、業界が力を入れるのはここからだと思います。
この時期にお子様の通学用のローファーを買い替える検討をされている方もいると思います。
多くのお子様にとって、革靴を本格的に長時間履く、はじめての機会が学校ではないでしょうか。
しっかりと選んで上げてほしいと願っています。
軍服が学校の制服の始まり
貴女も、学校の合わないローファーで痛い思いをした、という思い出をお持ちではありませんか?
学校の制服は元はと言えば軍服です。
軍需物資だから、生産効率、在庫効率が非常に重要だったんです。
それが、現代の靴業界にもシッカリ受け継がれ、長さの展開も、幅の展開も中心サイズだけになっています。
今問題なのは、21.5センチよりも小さな足の女性。
そして、D幅よりも狭い靴が合う、本当ならば狭い足幅の女性の靴です。
ご自身足のサイズを知ったとしても、そもそも簡単に手に入りません。
軍需産業で効率化を覚えた業界。
経営重視の大手メーカーが作っていないのも道理です。
だから、普通のお店で買うことができないのです。
学校用ローファーの実態
学校用のローファーの圧倒的シェアを持っているのが、HARUTA(ハルタ)です。
幅の展開はE、2E、3Eの広めばっかり。
Eは1モデル、しかも22.5スタート。
2Eは8モデル、21.5スタートが2モデル、22.0スタートが2モデル、22.5スタートが4モデル。
3Eも8モデル、21.5はナシ、22.0スタートは3モデル、22.5スタートは5モデル。
小さなサイズの靴がありません。
狭い幅の靴も全くありません。
本来学校の制靴の重要性は、まだまだ成長期にある子供の足を支える重要なアイテムであって欲しいですよね。
おまけに、圧倒的占有率を持つ企業に、「社会的責任」を期待してしまいます。
まぁ、建前というか、多くの株式会社の「社会的責任」は、株主と従業員だけ、と考える企業は「当たり前の効率営業」をしているだけだ、とお考えなのでしょうね。
短期的な利益が重要なのであって、「公器」としての企業的責任、日本の宝である子供たちの健康と、国際社会で恥をかかない、正しい靴の履き方ができる国際的な常識を教育することすら担っている「社会的責任」なんて大層なことは、お考えになっていないのではないかと、勝手に推察してしまうところです。
詳しい統計はありませんが、学校の制靴における占有率は70%を超えている、と主張するライバルメーカーもありました。
完全支配者なので、好きにできると思います。
しかし、日本女性の足元を乱しているかもしれない、という思いなんて全く無くても、責任ありません。
株式会社の責任は、何度も書きますが、最低限「株主と従業員」だけ考えればOKです。
もっと広く、企業が社会的責任を果たすべき範囲を、「ステークホルダー」とまで広げて考えているならば、顧客、従業員、株主、地域社会、行政機関、金融機関、各種団体、政府、債権者 など企業として果たすべき責任範囲が広がります。
ここまで考えている靴メーカーを知りません!
いるかも知れませんが、少なくとも、「効果的」とは見えないですねぇ・・・・
足の指を縮めて靴をつかむように歩く癖も、
カカトを踏み潰してスリッパのように足を引きずって歩く癖も、
小股でちょこちょこ歩く癖も、
パタパタ大きな足音を立てて歩く癖も、
中学生から高校生の重要な成長期に、まさか合わない学校の靴で歩いてついた癖だなんて、気がついていないのでしょうね。
気がついていて、何もしていない?
まさか、そんなことが・・・・・・、ありうる。
ローファーの品揃えの実態
デパートなどの店頭で、HARUTAのE幅を在庫しているお店を新宿、渋谷、池袋で見つけることができなかった経験があります。
私の娘は、長女C幅、次女A幅でした。
東京のデパートを巡っても、二人の足に合うローファーは見つかりませんでした。
学校制服売り場に置いてある靴は、HARUTAの3E、またはリーガルの2E、3Eだけでした。
REGAL(リーガル)も、ローファーを出していますが、2Eが5モデル、3Eが1モデル、Eはカタログからなくなってしまいました。
本当に、こんなに太い靴が必要な子供ばかりなのでしょうか?
過去のものになりますが、平成18年12月~平成20年6月までの期間で、小学校1年生から高校3年生まで、10,155人の足のサイズを計測したデータがあります。
子供靴のJIS規格、大人の靴のJIS規格にそれぞれ分けて、ウィズの分布を公表しています。
大人規格で分類した、12歳以上の女性1627人の結果です。
4E → 0.9%(15人)
3E → 2.4%(39人)
2E → 7.9%(129人)
E → 18.5%(301人)
D → 28.1%(457人)
C → 22.6%(368人)
B → 14.4%(234人)
A → 4.4%(71人)
>AA→ 0.8%(13人)
JIS規格なので、立って体重がかかった状態での計測です。
シューフィット・神戸屋が使っている計測方法なら、この結果から更に2~3サイズ狭い靴をオススメすることになります。
3E、2E合わせて、10.3%、168人に向けて、全力でマーケティングしているのが実態です。
それにしても、一番のボリュームゾーン、D&Cを無視しているのですから、靴が合わない人が続出するのは当然です。
だから、私の仕事が成り立つのですが・・・・。
ちなみに、現在、30歳~36歳の女性の過去データになります。
ご当人のサイズは、今現在は変化している可能性があります。
しかし、当時16歳以上の方は、骨の成長は、ほぼ終わっており、基本サイズはあまり変わらないと思われます。
それでもなんとするならば
細いと気がついてしまったら、探しに行くお店は、グッと絞られてしまいます。
銀座ヨシノヤが、幅はD・E・2Eで、長さは21.0~26.0 値段は14,300円~18,700円くらい。
パラマウントが1モデル 幅の展開がA・C・E・3Eで、長さは 21.5~25.5、19,800円。
吉祥寺にあるオートフィッツがドイツへ発注したローファーが22.0~26.5。
幅は 細幅・普通幅・広幅 というヨーロッパの靴メーカーが自社の規格の中で、広いか狭いかを表しているもの。
したがって、JIS規格に対応しているサイズ表示ではありません。
細幅は結構狭いと思われます(B~C位??)。価格は22,000~24,200円。
ギリギリ学生さんOKかな?ってデザインでマーガレット・ハウエルideaにE幅のローファーがあります。
それでも、E幅です。
長さは22.5~24.5センチの中心サイズのみ。
価格は24,970円。
本当に幅の狭いローファーを見つけるのは難しいです。
木型が足に合う、合わないは当然あるのですが、太さを変えようと思うと、このくらいしかありません。
レディースの場合、後は、インポートの、値段が超高い靴になります。
例えば、フランスのJ.M.WESTON。
メンズでA幅から、レディースでB幅から作ってますが、日本での扱いがいつもあるわけではありません。
価格は13万円以上と学生靴としては、論外かなと思います。
もともと、ロファーという靴のフィッティングは、最も難しいと言われています。
それを学生靴にしたところに無理があったと正直思います。
例えば慶應義塾高校のように、「黒の紐靴」と色と形だけ指定していれば、経済状況に応じて足に合う靴を選ぶことができ、足に合う靴を履くことが国際的な紳士を育てるための一助とすることもできるのです。
ちなみに、知り合いのお医者様は慶応高校時代から、JOHN LOBB(10万円オーバー)の靴を履いていて、25年以上修理しながら履いていました。
「履いた年数で割れば、修理費含めても1年1万いかないよ、経済的だよ!」との賜っていて、そりゃそうだけど・・・・、と感心した思い出があります。
最終手段ですが・・・
さて、学校によっては指定靴の場合があります。
その指定メーカーに長さの展開、幅の展開(ほとんど望みナシですが)がなければ、ある意味どうしようもないかもしれません。
お子さんの正しい足のサイズが分かっていて、そのメーカーの靴では合わないとしたらどうするのか?
デザインが似ている靴があるならば、学校に要望書を出して、「足に合う靴を履かないことによる問題を健康上の理由から説明する文書」で要望書を出す、という手があります。
その時、「イジメの対象になるかもしれない」なんて脅し文句を言った学校のケースを知っています。
そのお母さんは、そこで諦めたそうです。
しかし、かなり状況は変わってきています。
親のできることとして、要望書の提出と、イジメの防止を訴えるのはありだと思います。
それが一番いいのですが、次善の方法として、インソールで上げ底をして、足囲を調整する方法があります。
さらに、制服の靴下の下に、もう一枚靴下を履く、重ね履き方法もあります。
そして、2つを併用する方法。
夏は暑いかもしれませんが靴下の生地が厚くなり、皮膚を守る効果もあるのでオススメです。
臭いが気になるかもしれませんが、メリノウールの薄いものを使えば、消臭効果バツグンです。
登山家が1週間山で行動しても、臭いが気にならないから使うのがメリノウール。
制服の靴下として履くなら、高い防臭が効果を期待出ます。
夏こそメリノウールという意見もあり、私も使っています。
加えて、ワークマンがメリノウールの品揃えに注力しているので、買いやすい値段のものが増えました。
その他、モンベル、ファイントラックなどの日本の登山用品メーカーも、「山ガール需要」に向けて、可愛い色を用意しています。
ついでのウンチクですが、足に合う靴を履けば、足の臭いと水虫の予防になります。
靴の中で、汗を素早く吸収し、排湿乾燥させれば、臭いの原因である雑菌や真菌の増殖が抑えられるからです。
子供たちに足に合う靴を履かせるだけで、玄関先の臭いが、驚くほどなくなりますよ!
さて、今回のまとめです。
長いな・・・・・(反省^^;)
- 学校の制靴は軍靴が発祥なので、経営効率重視。品揃えが極端に少ないです。
- 特にローファーは「幅」の品揃えが極端にありません。
- 長さの品揃えも、小さなサイズが手に入りません。
- メーカーの社会的責任に期待しても、表面ズラではない、本質的な対応ができる企業はほとんどありません。
- 足に合わない靴を履くことで、正しい歩きができない、カラダに影響がある、先進国でなめられています。
- 少ないですが、幅の対応、長さの対応をしているメーカーがあります。
- 是非足を入れてみる努力をして欲しいです。
- 学校指定がキッチリしているならば、健康的に関わる視点から、要望書なり、靴の自主調達許可願いなり書いて、相談することも検討。
- それでもだめならインソールを入れて、上げ底をして足囲を調整して履く。
- 靴下を二重履きにして、皮膚を守りながら足を大きくしてして履く。
- 両方同時に実行する。
- ニオイ対策もメリノウールを使うことでかなり解消する。
長文になってしまいました。
4人の子供を見てきた父親として、今更ながら、できることは本当に少なかったなぁ、と反省しています。
しかし、そこでの経験と、お客様のお悩みを解決する中で発見したこと、気がついたこと、なにより、皆さんの工夫を教えていただけたこと。
それをまた、プロとしてお伝えしようとすると、こんなに長くなってしまいました。
貴女のお子様の楽しい学校生活を支える、靴を手に入れていただけることを心から願っております。
シューフィット・神戸屋(株式会社神戸屋)
代表取締役 西村克之
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